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闘蟋用品のあれこれ。その5 ミニ天蚕糸網 虫網(チュウカン)

天蚕糸と書いて“テグス”と読みます。釣りをする人にはおなじみのテグス網です。
テグスとは元々はクスサンという蛾から得られる絹糸のことを言いますか、昔はこれを釣り糸として利用する場合があったそうで、これがいつのまに、釣り糸=テグスと言う風なニュアンスになり、現代ではナイロン製の透明の釣り糸=テグスという認識の人が多いことと思います。

で、このテグス網の何が良いか?というと、透明であるから魚には網が見えず逃げられにくい。丈夫で絡まりにくいから編み目が大きく、水の抵抗が少なくなるのですくい易い。編み目が大きいと水流が少なくなるのでエビなどの触覚に気づかれにくく捕獲し易いなど、様々なメリットがあります。

陸上で生活するコオロギを網で捕まえる際にも同じような条件が要求されますので、テグスで編んだ網が非常に使い易く、闘蟋家には無くてはならない道具となっています。
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捕まえたいコオロギに網をかぶせ、「ふっと」息を吹きかけるになど、あえてちょっと驚くように促すと、跳ねて、網の内側へへばりつきます。
そして、上へ上へ行きたがる傾向がありますので、その間に、捕獲、移動等の目的を果たします。
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一枚目のように、網が浅いもの、深いものと2タイプありますが、それぞれに使い勝手の違いがあります。
まず、野生のコオロギを捕獲する場合は深いものを使います。
野生のコオロギは兎に角敏感でなので、網の中で暴れ回ることがあります。そんな時は、下の写真のように網の口を押さえれば逃げられることもありませんし、足場が悪く深く袋状になってる網の中ではコオロギも脱走に手間取るので、扱う側としてほんの“一瞬の間”というか、時間稼ぎが出来き、ロストのリスクが軽減します。
しかし、コオロギが網の最深部で引っかかったり、落ち着いてしまったりすると、なかなか取り出すことが出来ず、作業効率の低下や、無理に取り出そうとすると、爪や触角を痛めてしまうこともあります。
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逆に、網が浅いタイプは、入ったコオロギが出やすく、怪我の心配も少ないですが、野生のコオロギや落ち着いてないコオロギには不向きで瞬時に逃げられてしまうリスクがありますし、暴れるコオロギには狭い網の中は余計に怪我が多発します。これらのことから、
飼育中の落ち着いたコオロギには浅い虫網。
野生の個体を採集するとき、飼育して間もないまだ落ち着いていないコオロギなどには深い虫網と、使い分けます。
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あと、写真では持ち手(柄)が横のもの、立っているものとがありますが、通常、売られている状態では一般的な虫網や魚網と同じように持ち手は横です。ただ、コオロギを捕る場合は上からかぶせるものなので、ほとんどの人は購入後に持ち手を曲げて“立てます“。ただ、立ててるものが万能かというとそうでもないので、同じ網をもう一つ買い、一つはそのまま、もう一つは立てる。という感じで状況次第で使い分けてる人もいます。

小魚用のネットや、茶漉しの柄のついたものなど、“似たような他のもの”で代用を試みたことはありますが、それらでは使い勝手が悪く、やはりコオロギ専用に長く使われてきた道具だけあって、こんなものですが、ちゃんと伝統が詰まっているのです。

ちなみにもともとは竹製だったそうですが今では売っているを見ることは出来ません。(20年くらい前に台北の博物館で竹製の虫網が展示されていましたが)
しかし、地方の農村などで、農業の合間にコオロギ捕りをして収入を得ている人の中には自身で編んだ竹製の虫網を愛用している人もいるそうです。
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