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記事一覧

葫蘆にまつわるあれこれ。その1 着せ替え通気孔 

葫蘆の一番てっぺんに付ける通気孔です。これを蒙心(モウシン)と言います。上の写真のものは、何となく、私が所持しているものを並べただけなので凡庸品ばかりですが、蒙心はまさに、葫蘆の“顔”とも言える部分なので、非常に凝った作りのものもあり、材質も様々です。一般的には、椰子の実の表皮や、樹脂製の模造鼈甲、模造の牛骨が大衆品として多く見かけますが、良質なものは鼈甲、牛骨、ヤクの角、コブウシ(黄牛)の角、黄楊...

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小さな磁器の皿

水盘と飯板これらはすべて養盆の中で使う、水入れと餌皿です。写真中央にあるものは中国の硬貨1角コインで日本の一円玉とほぼ同等のサイズです。比較用にコインを並べましたが、これらの皿が非常に小さいことがよくわかると思います。基本的に、写真右側の1角コインと同等程度のサイズのものはすべて飯板(餌皿)です。中国ではコオロギの主食は人間と同じく“お米”です。お粥のように柔らかく炊いた米を一匹に1〜2粒のきまった量を...

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ラストエンペラー“愛新覚羅 溥儀”が愛した虫具(葫蘆その1)

皇帝の名を掲げたなんとも図々しいタイトルですが、映画ラストエンペラーのラストで溥儀が手にしていたアレです。名作中の名作で、多くの人がご覧になられた映画でしょうから、この虫具の名称や使い方を知らなくても「あぁ、アレね」と、その存在を知っている人は意外にも沢山いらっしゃいます。その名を葫蘆(コロ)と言います。葫蘆は、ヒョウタンやユウガオの実で作られた伝統的な虫具で、主にキリギリス類を飼育するのに使いま...

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春を告げる虫

昨日孵化したツシマフトギスの初齢です。まだ6ミリほどです。年1化で卵越冬のコオロギ・キリギリス類としてはおそらく一番寒い時期に孵化する種です。南西諸島産の種を除けば、最も早い時期に孵化する種でもあります。野外で無加温飼育していると桜の開花宣言と一致か1〜2日の誤差で毎年孵化しています。純粋な野生個体もおそらくは桜の開花と同じようなタイミングで孵化していると思います。天敵の少ないうちに一足早く大きく育...

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初めて見たアルビノエンマ

虫具の仕入れで中国へ。途中、いつも行く鳴く虫のお店へ顔を出し何か目新しい物がないか聞いてみたら、アルビノのエンマコオロギの販売を始めたと、見せてくれました。天津産のエンマコオロギを薄茶色に固定した品種のさらにアルビノであり、写真の個体がそれです。アルビノだから体の色が薄いわけではなく、普段は目だけが白くなります。実は中国では、いや中国でも、エンマコオロギは人気の鳴く虫で、声の良さと見た目の良さ、丈...

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闘蟋用品のあれこれ。その3 過籠と絨球

闘蟋用小物、花形?の一つ。過籠(グォロン)と絨球(ロンチウ)です。写真ではいろいろとありますが、過籠“木槌のような見た目のヤツ”と絨球“耳かきみたいなヤツ”を二つ一組で使用します。その用途はというと、逃げてしまったコオロギを捕まえるための道具です。主に、飼育中、餌交換などメンテナンス中に養盆から飛び出た場合に使います。使い方は、逃げたコオロギの目の前に過籠を置き、絨球でコオロギのお尻を少し触って、過籠...

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闘蟋用品のあれこれ。その2 鈴房

鈴房という名のこの道具は、コオロギ用の寝室のようなもので、養盆の中に入れて使います。野生のコオロギを捕まえてきて養盆で飼育するにあたって、最初はとても神経質になっているので、ちょっとの刺激で驚いて跳ね回ります。ともすると、養盆の蓋を開けた瞬間にコオロギが飛び出るという事故もとても発生し易いのです。しかし、この鈴房を設置しているとコオロギはよほど安心できるのか、この狭い鈴房の中でいつも過ごすようなる...

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養盆セットアップ2(塘底)

塘底という施工前回の記事で簡単な説明をさせて頂きましたように、灰汁抜きが済んだ養盆で晴れてコオロギを飼育するわけですが、塘底というもう一手間を加えてから飼育する人も少なくありません。簡単に言うと、養盆の底に土を敷いて、プレスして押し固め土間のような状態にする加工のことを言います。もともとは寒さ対策の意味も強かったそうで北京などの寒い地域で盛んでしたが、いまでは上海でも一般的でして、虫具を扱う市場に...

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養盆セットアップ1(灰汁抜き)

基本的に一つの養盆に一匹のコオロギを入れて使いますが、手に入れた養盆の状態によってはすぐに使用はでくません。養盆は、焼き上がり窯から出てきたものはアルカリ分が強いことと、あたらしいものの内部は強烈な除湿効果と熱気があり、コオロギがすぐに弱ってしまうと言われているからです。そのため、最初の段階で、灰汁を抜いて十分に馴染ませる必要があります。一般的には、買ってきた養盆を網の袋に入れて、流されないように...

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闘蟋用品のあれこれ。その1 養盆とは。

養盆とはコオロギを飼育するための専用の壷ことを言います。鳴き声を楽しむためのもの、コオロギを健康に育てるためのもの、メスを入れるための物、などなど用途により形状は様々です。さらに、寒い時期用、真夏用、時期によって使い分けることもあり、北京と上海では大きく気候も異なるため、作りの違いにも地域差があります。非常に手間ひまかけて仕込まれた澄泥で作るのが一般的で、こと闘蟋に使う場合はほぼ100パーセント澄泥...

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